僕は藤井九段が好きだ

 先日行われたA級順位戦、対羽生戦で痛恨の大逆転劇を見せてしまった我らが藤井・ファンタジスタ・猛九段ですが、私はそんな彼が大好きです。プロも一目おく現代最高峰とも言える序盤研究の手腕、そしてそれを惜しげもなくアマチュアに披露する棋書の著作者としての筆の確かさ、時にファンタジーを見せながら、それでいて力強い盤上の差し手、そのどれもが好きなのですが、特筆すべきは彼が時に見せるお茶目さ。
 例えば、今、ハマっているものはと聞かれて『名探偵コナン』と答えられるのは全棋士中おそらく彼だけかと。


 さて、そんな彼ですが、現在、将棋世界誌において行われている『読みとイメージ』という、トッププロがある局面に関する自分の考え方を述べるコーナーに出演しています。私が先日、筋違い角をやられたときに、そのコーナーで筋違い角が取り挙げられているのを思い出し、その部分を読み返したことがありました。ついでにと、別の部分をみてみると、▲7六歩に△6二銀*1とされた局面も取り上げられていて、その部分の藤井件のコメントが面白かったので、いかに引用してみます。

 2手目△6二銀は振り飛車党に対する挑発で、実際何度か指されたことがあります。(中略)昔、B1の順位戦でも三浦君(弘行八段)に指されたことがあって、その時は「アツイ!」と叫んで、ノータイムで▲2六歩と突いて*2負けた。まんまと相手の術中に陥ったわけです。

将棋世界10月号 P85より ※字の装飾は引用者)

 何というか、僕は藤井九段が大好きです。来年の春には藤井猛名人となれるよう応援していきたいと思っているのでした。

*1:将棋の戦法には居飛車振り飛車があるが、△6二銀は対振り飛車用の指し手で相手が居飛車で来ると少し作戦を限定されてしまう。逆に言うとこの手は純粋振り飛車党の藤井九段にとって「どうせお前は居飛車できないんだろ」という挑発にもなります

*2:居飛車を選択して