呉智英 『言葉の常備薬』

言葉の常備薬

言葉の常備薬


 言葉に関するコラム集。元々は新聞媒体での連載だったらしく、一つ一つのトピックは短くまとまっているので、通勤時間にちょっとという読み方には合うと思う。ただ、問題は内容でなかなか面白いけれど、昨今の「日本語ブーム」の折りに出た「日本語本」と比較すると、扱っている内容がいささか高いように思われる。例えば、通常の日本語本は「「○○」の本当の意味は辞書を見ると「△△」なんです」みたいな感じだったりするが、この本の場合は「辞書には「○○」とあるが、これはおかしい古典を当たってみると「△△」の方が正しい意味だといえよう」みたいな感じの文章が散見される。
 また、細かかったり、日常から乖離していたりする事柄についてをどこか偉そうな口調で*1述べている部分もあるので、人によっては「虫が好かない」という風に感じたりもするかもしれない。
 それでも、イラストのくだらないジョークといい全体としてみれば面白い本なので、日本語に興味がある人は一読してみると良いと思う。

*1:呉さんの文章は二三回読んだだけだがこれがデフォルトだと思う