最近遭遇した吹き出しかけた事柄


 大学で二つ前の席に座った、毛髪がほぼ壊滅状態のおじさまが畳んで横の席においていたスーツのポケットから櫛が覗いていたのを見てしまい、思わずどこを梳くのだろうとか考えてしまったこと。


 同じ授業で、通路挟んで斜め前に座ったお兄ちゃんの襟の辺りから、形を整えるためのボール紙がぶら下がり、そのお兄ちゃんが黒板からノート、ノートから黒板と視線を移り変わらせるたびに、ぷらーん、ぷらーんと揺れているのを見たこと。授業終了時にはほとんど落ちようとしていたのだが、しかし、往生際の悪いやつで、僕が立ち去る時にはまだ残っていた。
 一時間、吹き出さずに耐えたあのお兄ちゃんの後ろに座っていた女の子の忍耐力はなかなかのものだと思うが、その一方で優しく教えてやるか、引き抜いてやっても良かったのではないかと思う。