と、いうことで『A Profile体験版』 感想

 mixed upは気がつけば商業化ですか。ビックリ。

 そんなmixed upの同人時代の作品が『A Profile』(リンク先18禁、注意!)。

 序盤はギャグのテンポにイマイチ乗れなかったものの、慣れればこれはこれで楽しめないこともない。余り興味のない義妹くんとの会話が多かったのも、乗れなかった一因かもしれないが、日常の描き方がそれほど上手いとは思わなかった。
 ただ、体験版ラスト辺り、物語が動き始めた辺りからの展開はなかなか良いと思う。最後に、ドンと衝撃を与えて本編購入の意欲を喚起する、というのは良くあることだけど、その喚起のさせ具合が上手い。その直後に流れるオープニング局があまりにアレじゃなければ*1、乗せられたままフラフラと買ってしまいそうになるくらい上手い。

 この体験版でもう一つ上手いと感じたのは主人公の描き方だ。この手のゲームの場合、書き手が「主人公を描く」ことは余り無い。だからこそ、読み手は主人公の周りにいる人物の反応を通して、主人公がどんな人間であるかを推測することになる。鏡を見て自分の容姿を確認するようなものだ。
 では、その鏡が歪んでいたらどうだろう?
 このゲームの主人公はまさにその状態におかれている(ように僕には見える)。周りの人物の反応は歪んでおり、それが主人公のその世界でのポジションを見えづらくしている。
 だからこそ、体験版のラスト近辺、別の人物の心情の吐露として描写される主人公のポジション、在り方に驚きが生じる。少なくとも僕は驚いた。この手法はちょっと、真似したい気にもなった。

 今すぐ、どうとは思わないけど、財布と時間に余裕があればやってみてもいいかも、と思いました。

*1:場末のカラオケ屋でエコーをきかせまくった歌声と表すればいいだろうか。正直、ない方が良かった