ヘリオテロリズムVol.1

 根子さんから頂いた(ありがとうございます)そらけいさん編集の同人誌、『ヘリオテロリズムVol.1』の感想を、今更ながら書いてみます。
 不幸にも冊子を神戸に忘れてきてしまっているので、うろ覚えの部分もあるけど、以下感想。

いづるさん 『ドラウナーズ』
 それほど目新しさのある物語ではないが、文章が上手く、描写も丁寧なのでさくさくと読み進めることが出来た。じぇいくとのやりとりだとか、一人称主人公の思考だとか、そういった個々の部分はとても興味深く、または面白く読めたけれど、ラストのオチはいささか急すぎる気がして、僕は評価しない。
 伏線があったら良いのに、と思ったが、もしかしたら僕が見つけきれてないだけかも。もし伏線があったとしたら、作者さんの腕は相当なものだと思う。


西東ノブさん 『ヒット・パレード98-89』
 1985年生まれな僕としては、いささか置いて行かれてしまった部分もあるというか、曲名を目にしても分からない場合があるので、ちょっと困ったというか、そんな作品。もちろん、分からないなら分からないなりに楽しみ方はあるわけで、主人公の思考から逆に曲調を想像したりとか、そんなことをしていたけれど、書き手が求めてる読み方からはちょっとずれちゃったのかな、とは思う。
 年代的にど真ん中ストライクな人はどんな感想をもったのか、興味があったり。


秋山真琴さん 『メタ探偵の憂鬱』
 個人的にはこの冊子の中で1,2を争う問題作。いや、何度読んでも理解できなかったのですよ。
 メタ・ミステリで、どんどん階層が上がっていくような感じなのだろうけど、枚数的に厳しかったような気がします。特にシリーズ探偵もの(?)のようだったので、説明されてない部分があるような気がして、何となく居心地が悪い気もしました。
 とはいえ、それ以外の部分に目を向ければ、状況説明だとかも的確で、試み自体も興味深く、とても面白かったです。それ故に、少なすぎた枚数が、とても残念でした。


根子さん 『スライド』
 根子さんの非ミステリ作品を読むのは初めてかもしれないが、読後に感じたことは根子さんのミステリ作品を読んだとき、同様、「上手い」だった。設定、話の持っていき方、収束の仕方、余韻。それらに調和が取れていて「上手い」。僕には「こういう」作品は書けないので、設定を見た時点でじたばたしていたのですが、とても楽しませて頂きました。このラスト、好きです。


 長くなったので、今日はここまで続きは明日にでも書く予定。