冒険

 発売当初から気になっていたものがある。


 なんぼ何でもこれは美味しくないだろうと思いながら、それでも心のどこかで惹かれ続けてきた商品がある。


 万が一地雷だった場合、2日間はそれを食さなければならないというリスクを知りながら、それでも食べたいと思った、そんな食品がある。


 それがこれである。



 そう、ハウスの北海道ホワイトカレーである。パッケージを見ると、どう見てもクリームシチューです。本当にありがとうございました、と言いたくなるのだが、しかし、それでもあくまでもカレーなのである。このカレー、当然、VIPPER達が突撃しているものと思っていたのだが、僕の探し方が悪いのか、そういう記事を見つけることは出来なかった。もしかしたら、カレーといういささか手間がかかる題材だけにVIPPER向きではなかったのかもしれない。VIPPERは手間をかけるのは惜しまないが、大抵かける方向を間違えているから、カレーを作る途中で別のものになったのかもしれない。閑話休題


 で、まぁ、私はこれを購入して作ったのである。水と牛乳の量の比が5:2というのもそそる。甘いカレー好きな僕辺りになると、水:牛=7:5くらいで普通になるのだが、これはちょっと素人にはお勧めできない。なので、とりあえずは5:2ということにしておいて、玄人はその先へというハウスの戦略はあながち誤りではないだろう。それはそれとして、完成したカレーがこちら。



 横のチャイナボーンなティカップを目安にして貰えばいいかと思うが、確かに白い。どう見ても精sシチューである。一口食べようとした僕は、不意にパッケージにあった一文字を目にして戦慄した。辛さレベルを表示するその欄には数字で「3」とあった。僕がいつも食べているバーモントカレー甘口はレベル「1」である。パッケージ脇の記述を見ると、このレベル「3」はバーモントカレーでは辛口に相当するらしい。


――とんでもないミスを犯しちまったようだ

 食べる前から僕の頬を汗が伝う。僕は辛いカレーは苦手である。万一食べる際にはカレーよりも水を多量に取るくらいである。あぁ、これから二日間辛口地獄が続くのかと、天を呪いながら一口食べてみると……意外に辛くないのである。確かに、辛めのカレー独特の口に残る「ヒリヒリ感」らしきものはある。しかし、それもクリームのオブラートに包まれているためか、そう強いものではなく、むしろ心地よい刺激となっている。
 しかし、それより何より特筆すべきは口に入れた瞬間のマイルドさだろう。カレーというのはつまりは刺激物であって、たとえ甘口のカレーであっても、口に入れる瞬間には多少の「ピリッ」を感じるものだが、これはそれがほとんど無い。まろやかなうま味が口に広がり、嚥下した後にマイルドな刺激が残る……それがこのホワイトカレーの感想である。


 美味いか不味いかで言えば、美味いの部類に入る。しかし、染みついた習慣から、皿を見るとどうしても「カレー」じゃなくて、「ちょっとスパイシーなクリームシチュー」を食べているような感覚に陥ってしまう。だから、どうしたと言われればそれまでなのだが、どうにも奇妙な感覚を覚えてしまうのだ。そのせいか今日は1回しかおかわりできなかった。


 ご飯を青くしてダイエットというのを前に見たことがあるが、そういった感じなのかもしれない。ん? じゃあ、これ、ちょっとしたダイエットになるのか?