深夜の三時

 間違えた、惨事。
 昨日の夜、いつものようにOAチェアに腰掛け、背もたれに寄りかかるとバキッという何やら不吉な破壊音。そして、フローリングに落ちた何かの音と、唐突に横にずれる背もたれ。机に手を伸ばし、危うくバランスを取った僕が見たのは、床の上、ぽつんと転がる椅子の部品。ネジっぽいもので、そこから直径1cm弱のボルトが出ている……はずなのだが、それがぽっきりと折れてしまっている。
 …………いやいや、いくら僕が重くてもそう簡単に椅子は壊れないさ。世の中には僕より重い人間は数多いるし、そもそもこの椅子の出自は中古品。それまでにもよほど酷使されていたに違いない。うんうん、そうに違いない。
 そう自分を納得させたは良いけど、椅子が壊れたのは厳然たる事実なわけで、今のところ座ることに支障はないけれど、背もたれの左右への稼働域が異常に広がっていて、いささか背中を預けるのが恐い気がする。何ともなれば買い換えだろうけど、椅子も高いしなぁ。しばらくは頑張ってもらいたいと思う所存。
 しかしなぁ、そんなに重くはないと思うんだけどなぁ……。