結果的にはネタが出来たとも言える

 ネタが無い無いと唸っていたら、出来てしまった。とはいえ、出来たのはネタではないし、赤ちゃんでも、もちろん無い。おできである。ころんと丸く、ちょっぴり熱を持ったそれが右のおしりに出来てしまったのだ。
 ここまで読んで笑った人は、おできの経験がない人、あるいは経験があってざまぁみろ、と思っている人に違いない。笑い事ではないのである。

 人は一日の内、どんな格好をしていることが一番多いだろうか。私は一日中立ち仕事です、という人もいればずーっと横になっている人もいるであろう。しかし、一応学生であるところの山倉は、やはり椅子に座っていることが一番多い。この座った状態で、激痛が走るのだ。
 化膿した部分を椅子に押しつけてそこに体重をかけているわけだから、痛むのは当然とも言えるが、しかし、当然でも困るものは困る。こんなに痛いのでは勉強どころではない。左側に体重をかければ? と人は思うだろう。それは短期的には正しい方法であるが、しかし、長期的には正しいとは言えない。と、いうのも左側に体重をかけると言うことは、不自然な姿勢をするということで、長時間続ければ腰にも、体重をかけている方のおしりにも大きな負担をかけるのだ。現に既に腰痛の兆候はあるし、姿勢が悪いせいか集中力の持続も難しい。

 9日で二十数時限という集中講義にこの体調で挑むのは無謀に等しい。となれば、治療が必要だ。

 インターネットで検索すると一番最初に出てくるのはやはり、皮膚科、外科である。医者による治療はやはり下手な民間療法より効くだろう。少なくとも、ライターで針をあぶって膿に突き刺すといった凄惨なことにはならないはずだ。いや、はずだったのだが……。検索の結果、分かったのは以下のような事実だった。

  1. おできは、とりあえずその場で麻酔して切開。
  2. その後、消毒のためのガーゼを変えるために通院が必要。
  3. ガーゼを変えるときにはこの世のものでない痛みが伴う
  4. 膿の芯を逃した場合、再び切開が必要になることも

 ……ヘタレな私はこの時点で病院という選択肢は無かったことにする。
 
 さて、病院が駄目とすれば次は薬局だ。まさか、膿破りセットとかいって「針+ライター+どくだみ」みたいなものが売ってありはしないだろうが、何かしら薬があるかもしれない。そこで見つけたのがこれだ。吸い出し青膏、別名、たこの吸い出しというこの薬。何といってもパッケージが怪しい。古めかしいデザインにたこの絵が描いてある。田舎の雑貨屋で埃をかぶっておいてあるようなイメージだ。色が緑色というのも何とも良い感じだ。こう、秘薬っぽい感じがぷんぷんする。
 と、いうことでこの薬を10g+ガーゼ+ガーゼ固定用のテープを締めて1300円で購入。つけて7時間ほどしか経っていないが、痛みが大分無くなっている。というか、ピンポイントで患部を指圧しない限り痛みはほとんど無いと言っていい。入浴する際にガーゼをとって、患部をみてみようと思っているが、しかし、流石秘薬。抜群の効果である。

 と、いうことで皆様も吹き出物が出来たら「たこの吸い出し」を購入してちゃっちゃと治してしまいましょうー。

 なんだかんだ言っておできも軽くなったし、ネタも出来たし、めでたし、めでたしなのかな。