魔法先生ネギま! 第25話

 先週の日記で、来週も楽しみと締めていた作品だったのですが、怒濤の超展開、シリアスかギャグか分かりかねる素敵シーン、前回用意しまくった布石の殆どが無視されている辺り、もうストーリーとしてどうなのだろうか。そえより何より、一番の問題は主人公が全く別人になってしまっていること。これには困惑、いや、むしろ錯乱。テレビの前で「あのガキ殺せ」と何回呟いたことか……。

以下、壮絶にネタバレ

 メインヒロインが火葬されたことは前回書いたが、主人公は未だにそれを引きずりまくっている。「死んだ人を生き返らせる魔法は存在しない」とエヴァンジェリンに言われ消沈する彼を支える泥棒猫夕映。

「先生はあくまでも〜」という彼女の言葉に、それまで反応がなかった主人公が顔を上げる。「そうだ悪魔だ! 魔族の力を借りれば〜」

 (この展開、ギャグだと思ったらマジだったらしい。「あくまでも」→「悪魔」て……)

 その後、タカミチに止められる主人公。安静を保つためと運ばれた保健室から、しかし脱走し、街を彷徨う。そこで出会ったのはクラスの天才二人組。彼女らの口車に乗せられ、研究室につれてこられたネギはあるものを差し出される。 それは……タイムマシン

 (んな、安直な……。「亡くなった人は返らない。だから、それを乗り越えていこう」という方向性じゃないのかよ、と思ったが、そういう方向性ではなく、あくまでこだわるらしい……)

 ちょうどこのころ、主人公が保健室から脱走したことが知れ渡る。夕映に先生の居場所を知らないか、と聞くのどか。

(先週、繰り広げた修羅場はどこへ行ったのでしょうか。まさか、もう解決してしまったのでしょうか。)

 クラス全員が探すもなかなか見つからない主人公。捜索する一団の中には何故か、先週、幼なじみを捨て「学生で無くなった」はずの刹那が制服で混じっている。先週の無駄に不幸だったコノカは何だったのだろう……。

 皆が困っている頃、空から降ってくるは我らが幽霊、さよちゃん。「先生、見つけましたー」との一言がカッコイイ。さよちゃんは、アニメの方が原作よりも扱いもストーリーも良くなった非常に希有な例と言えよう。
 先生の元へ行こうと走り出す一行。そのころ、件の先生はと言うと動力源が魔法であるタイムマシンで人体実験中。「アスナさん、アスナさん」とどこぞの汎用人型決戦兵器の鬱パイロットのようにぶつぶつ呟いている。
 「シンクロ率が低くなってきたからやり直そうぜ」というタイムマシンの作り手の言葉を無視した結果、シンクロ率400%にタイムマシンは暴走。ちょうど、ドアの前まで来ていた生徒達も一緒に過去に飛ばされる。

 この時点で「亡くなった人は帰ってこないけど。それを乗り越えようよ」という山倉さん好みの展開はほぼ望めないことに。

 タイムマシンで飛ばされた先は9年前のドイツで、そこで主人公は子供時代のアスナと、サウザンドマスターに出会う。2人と一緒に魚釣りをしていると襲ってくる魔族。しかし、サウザンドマスターはそれを軽く倒す。その夜、主人公はアスナのマジックキャンセルの原因、アスナの死の原因、そしてサウザンドマスターの旅の理由を知る。
 アスナは生来、魔族を引きつけてしまう力があり、それが彼女の周りに災厄を呼んでいた。だから、彼女は「後10年しか生きられない」ということを条件に悪魔と「自分に対する魔法がすべて効力を失う」という契約を交わしたのだ。
 
 次の日の朝、近くの川に主人公が水を汲みに行っている隙にサウザンドマスターアスナを襲う魔族。魔族の刃を魔法障壁で受けるサウザンドマスターだったが、障壁の対象が自分+アスナだったため、障壁が無効か。魔族の一太刀をもろに食らってしまう*1
 その後、魔族を自分と共に亜空間に封じるサウザンドマスター。それを見て無くアスナ。そして、続きは最終回に持ち越されることに……

 何というか、物語世界最強のはずの人物があっさりやられるのはどうかと思うんだけどなぁ。アルクエイドがスーツ着た死徒にやられるようなもんでしょ? 刹那や夕映の件は前回の物語から断絶したかのようになっているし、主人公がアスナサン、アスナサン煩いのも癇に障る。
 泣こうがわめこうが人は死ぬわけで。クラスメートが亡くなるということはそれほど珍しいことじゃない。その理由が仮に特殊だったとしても、「生き返らせる、生き返らせる」と煩く言うのは死に対する冒涜であり、ひいては生に対する冒涜だ。
 哀しいけど前を向く、それは人間の尊さの一つの形だろう。それを放棄し、ストーリーの流れすらを放棄して無理矢理ハッピーエンドにつなげようとするのは正直、非常に不愉快。

 最終的な判断は最終回後ということになるのだろうけど。前回から大きく評価を下げたことだけは確か。

*1:前日に説明しといて忘れるなよ……