朝からDQN

 木曜は1週間のうちで最も憂鬱な日であって、その理由は、「オーラル、会話がつらい」、「経済学、よくわからん」、「教養原論、第3志望の科目」という3つなのだが、その憂鬱な朝、いつものように、いや、いつも以上に混んだバス停の前*1に並んんでいると、目の前の女の子の携帯が鳴っている。まぁ、そんなことは日常茶飯事、どうでも良いことなのだが、その子が「今? 列の前の方」、「ああ、うん、おいでおいで」などと言い始めると問題は変わってくる。
 おいおい、割り込ませるのかよ。そう思ってると、案の定、女の子がてくてくとやってきて、自然な感じに前に収まる。それだけで治まればまだ良いのだが、なんと、もう一人男の子がやってくるではないか。
 いやいや、山倉さん、2人くらい良いじゃないですか、と言えるのはあの状況を見てないからで、次のバスが授業開始時間すれすれに着くかどうか的状況なだけに、後ろにずらーっと並ぶ方々を無視したその行為は癇に障るのですよ。
 義憤に駆られたと言っても良い心境だったのですが、私はヘタレなので、注意も何もすることなく、普通に乗り込んだのですが、バスの中でも最初に並んでた女の子が良い感じなDQN具合を見せつけてくれて、吊革につかまってるくせに、ちょっとバスが揺れたとたん、ウワッとか言いながら、倒れ込んでくる。
 いやいや、山倉さん、女の子が倒れ込んでくるなんてラッキーじゃないですか、等という輩がいたら、それはその状況を見てないからで、「倒れ込んだ」という言い方をすればまだ可愛いが、あの状況を的確に描写するなら「倒れ込みつつ、山倉のみぞおちにエルボーを入れた」ということになる。
 つまり、彼女は過失とは言え僕を殴ったわけで、普通なら、「すいません」と詫びの一つも入れるべきところ、最低でも頭を下げるくらいはすべきところなのだが、そこはDQNらしく、完全無視であまつさえ、連れに「転んじゃったー」などと言っている。
 このときは、文句の一つも言ってやろうかと思ったが、私は前述のようにヘタレですので、そんな直接的な行動はとれず、その代わりに苦虫を666匹噛みつぶしたかのごとき顔で、にらみ付けたやったらば、彼女はすごそごと立ち位置を変えたりしたのでした。みよ、この私の威厳*2
 まぁ、そんなこんなで、バスは大学に着いたわけですが、この忙しいときにかのDQN3人組はバスの出口を完全封鎖し、ちょこまかやっている。って、両替かよっ。朝のバスは混むって分かってるんだから、前日に紙幣を崩すなり、バスカードを買うなりすればよいのに……。
 まぁ、そのあたりがDQNDQNたる所以か。

 このように、紆余曲折を経てようやく校舎に着いた私は、K棟へと向かった。ここの6階、602教室が私のオーラルのクラスだ。早くもふらふらの身体を引きづり、階段を登る登る登る登る登る、着いた。
 時計を見る。授業開始3分前。何とか間に合った。私は一息つき、軽く笑みを漏らすとドアに手をかけ……ん?
 そこには張り紙があった。見てみると……
 
「オーラルA ○部 4月21日1,2限休講」

 ……アニキ、悲しいっす

*1:というよりも、駅舎の横にあるバス停からぐんぐん伸びた列の最後尾、駅舎の中

*2:単に、オタクキモッ、と思っただけという可能性の方が高い