犬に騙される男

 我が家で犬を飼ってるのは皆様ご存じだと思われますが、その犬(リュウ)は毎朝、父親に散歩に連れて行ってもらってます。が、時折、父が寝坊したりとか、朝は雨がひどかったりとか、そんなときには散歩に連れて行ってもらえず、外の自分の犬小屋付近から、何かを求めるような切ない目で、リビングの僕を硝子越しに見つめ、ぴぃぴぃと鳴くのです。

 これはある日のこと、その日も例によって遅く起きた僕に向かって、リュウは窓の外からぴぃぴぃないています。母親に聞くと、散歩に行ったか行ってないかは、リュウに聞けとのこと。どう見ても、行ってないし、仕方ないか、と出かけ、帰ってきたらば、爆笑する母と妹……
 行ってたのかよ……。犬に騙されるとは不覚。

 とか、思った次の日にも同様に騙される。もう、駄目かも……orz

 しかし、もしかしたら、リュウは朝に散歩に行ったことなんか全然忘れて、散歩行きたいよー、と鳴いているのかもしれない。だとしたら、僕が騙されるのもさもありなん、と思った。